合意分割とは
【目次】
● 合意分割とは
● A夫妻の年金分割
年金分割の手続きには合意分割と3号分割という方法があり、
婚姻時期や婚姻期間中の働き方によって、どちらかの方法を選択します。
厳密には合意と3号の併用手続きもありますが、今回は割愛させて頂きます。
【合意分割の特徴】
① 話し合いで按分割合を決定
② 年金分割の情報通知書が必要
③ 離婚後に2人揃って手続きに出向く
始めに年金分割の制度を理解する上で頭に入れて欲しいことは、
婚姻期間中に納付した厚生年金を配偶者に譲る(分割)というものです。
先ず合意分割は夫婦間の話し合いで按分割合を決定するので、
「○%~50%以下」と按分割合の範囲が書かれた情報通知書が必要です。
この按分割合の最低ラインである「○%」という数値については、
各夫婦の働き方や厚生年金保険料の納付額によって変動するのでご注意下さい。
つまりこの数値は一律ではないので、情報通知書の入手は必須となります。
(※ 年金事務所に申請をすれば、情報通知書をもらうことが出来ます。)
夫「按分割合はどうする?」
妻「公平に折半(50%)にして欲しい。」
そして夫婦間の話し合いで按分割合を決定していきますが、
一般的に折半が妥当だと考えられ、この協議で揉めるご依頼者様は少ないです。
(※ 当事務所では離婚公正証書や離婚協議書を作成しております。)
あくまでも按分割合は話し合いで決定出来るので、
仮に双方が納得すれば、折半以外の割合で合意しても問題ありません。
Q「按分割合が決まらない時はどうなりますか?」
夫婦間の話し合いで按分割合を決めれない場合は、
協議離婚の成立を諦めて、家庭裁判所が関与する調停などに進みます。
最後に合意分割の申請は、離婚後に2人揃っての手続きが必要なので、
配偶者が協力してくれるか不安な場合は、年金分割合意書の作成をお勧めします。
(例 手続きをする日に年金事務所まで来てくれるか不安でたまらない。)
年金分割合意書は全国各地にある「公証役場」にて作ることが出来ます。
ちなみに合意分割は配偶者と話し合って按分割合を決めるので、
合意分割より3号分割の方が精神的にも手続き的にも負担が小さいです。
(例 按分割合の話し合いを省略出来るので、気持ち的に楽だと感じる。)
文字の解説だけだと難しいので、次からは具体例を交えながらお伝えします。
A夫妻の年金分割
これからお伝えするのは実話ではなく、分かりやすい具体例となります。
【離婚時のA夫妻の状況】
◇ 平成15年5月に婚姻
◇ 夫は会社員で厚生年金を納付
◇ 妻は会社員で厚生年金を納付
◇ 情報通知書の按分割合は40%~50%
先ずA夫妻は共働き(共に厚生年金を納付)ということで、
3号分割には該当せず、合意分割の手続きが必要となります。
(※ 3号分割については年金分割の3号分割を知りたいをご覧下さい。)
次に年金事務所にて年金分割の情報通知書を取得した結果、
夫婦間の按分割合は「40%~50%」と記載されていることが分かりました。
次に按分割合について話し合った結果、折半(50%)で合意しました。
そして離婚後に2人揃って年金事務所に出向いて、
合意分割の手続きを行えば、合意した割合(50%)で分割したことになります。
Q「年金分割合意書を作る必要はありますか?」
年金分割合意書は1人で手続きを行う時に必要なもので、
A夫妻のように2人揃って出向くことが出来る時は作らなくていいです。
(※ 年金分割合意書は代理人というイメージをお持ち下さい。)
こういう訳で合意分割という手続きはややこしいと感じやすいので、
特徴の①~③を理解した上で、間違いがないよう夫婦間で話し合って下さい。